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榊原烋一 【サカスト】 |
最近のお笑い番組には可愛いけれども少しばかりおつむの弱い女性、男性が登場して笑いをとるプログラムがある。人間、イケメンだったり美少女だったりするとそれだけで賢いと思いがちなところを、その裏返しのギャップがまた人気を呼んでいるのかもしれない。
そんな中でもとりわけギャップの大きさで人気をさらっている芸人を通称国民的オバカサンと呼ぶらしい。私のささやかな知識の範囲でその芸人を探してみよう。まず女性ではスザンヌちゃん、この子は一見すると西欧人ではないかと見間違うような日本人離れした女性、事実どこかのおじさんから、あんたどこで日本語習ったの?と聞かれたくらいの美人だが、この人、普通の人間ならおよそ知っているだろう常識がまるでない。もちろん純粋な日本人なのだが。
けれどもそれを隠すでもなく、まことに大らかになんでも初めて知った、と驚くところがお笑いの世界では憎めない人柄かも。
他方男性でこれに匹敵する人がDaigoというロックシンガー。この男、竹下元総理のれっきとしたお孫さんなのだが、お爺さんとは似ても似つかぬ長身のイケメン、歌は聞いたことがないのでうまいのかどうかは分らないが、しゃべらせてみるとこれまた脳みそが口からこぼれてしまうのではと思われるほどのオバカサン。外見とのギャップがこの人にもありすぎるから人気が出る。竹下さんも定めしあの世で苦笑しているのでは。
私が選んだ国民的オバカサンは今のところこの二人だが、世の中上には上があるもので、こんな二人を遥かに超える国際的オバカサンがいるではないか。その人こそアメリカ大統領ブッシュさんである。ではどこがオバカサンなのか。
その第一、これは世界中が認めていることだがイラク戦争を開始したこと。戦争開始直後に【サカスト】でこれはパンドラの箱を開けたようなもの、と述べたがまさにその通り。首尾良くにっくきフセイン大統領をあっと言う間に退治しては見たものの、その後はまるでアメリカ歴史上の一大汚点とも言うべきベトナム戦争同然の泥沼状態だ。
こんな意味のない戦争のおかげでアメリカ軍は既に4千名を越える戦死者を出し、その100倍を越える一般民間人の犠牲を出しながら、いまだに何時果てるとも知れぬ占領状態を続けざるを得ない。そもそも何のためにこの戦争を始めたのか当のアメリカ国民でさえ分らなくなっているのだからまことにオバカな戦争を始めたものではないか。現在国際的にも問題になっている石油の暴騰だってこの戦争が影響してないとも言えないだろう。
第二、これはつい最近の事件だが、これまた非人道的な兵器の最たるものとしてあちこちで非難を浴びたクラスター爆弾廃止運動。ところが廃止に反対したのがわが日本をはじめアメリカ、ロシア、中国だった。廃止会議の最後になって日本は折れてしぶしぶながら廃止に賛成をした。しかし依然として他の3国は廃止を受け入れない。
この爆弾の始末の悪いところは、落ちたところに損害を与えるばかりでなく、飛び散った不発弾がそこら中に残ってしまって、運悪くそれに触れた罪のない人間、とりわけ子どもたちが手足を吹き飛ばされてしまうことなのだ。もちろん戦争が起こってしまえば軍隊同士は死ぬつもりで戦わなければ仕方がないのだろうが、近代の戦争は関係のない非戦闘員まで巻き添えにしてしまう。
そんな中でこのような非人道的な兵器だけでもせめて使用禁止にしようと国際的な世論がまとまっているのにブッシュ率いるアメリカは強硬な反対だ。日本だってそれに引きずられて廃止反対を叫んでいたのに、形勢危うしと見たのか、廃止してもアメリカの力があれば大丈夫と考えたのか、ギリギリになって廃止賛成に回った。こんな日本の姿勢を非難している国も少なくない。どうせ賛成に回るのならなぜ初めから意思を明確にしなかったのかと。オバカサンのしっぽばかりを追いかけているからこんな目にあってしまう。
第三、京都議定書以来、ブッシュ政権はどうも環境問題に対して熱意を見せたことがない。そればかりか、ガソリンの代わりにバイオエタノールを使うことが環境によいとなると、この時ばかりはいち早く反応して、麦や大豆から玉蜀黍やさとうきびへの転作を奨励してしまう有り様だ。【サカスト】ではこの時も人間の食糧や食肉動物の飼料をガソリン換わりに使うことの恐ろしさに触れたはずだが、案の定、食糧問題はアフリカの低開発国にまで深刻な影響を与え出してしまった。
木のくずや、稲の藁からだってバイオエタノールを作ることが可能なのに、人間の生命維持にとって欠くことの出来ない食糧を燃料にすることを奨励する、こんなオバカサンがいるから地球環境はどんどん破壊されて行く。もちろん地球環境が破壊されて困るのはまず人間なので、そこには国家、民族の区別はない。アフリカ人が環境破壊で食糧難になれば回り回っていつかはアメリカ人だって食糧危機に陥るわけなのに、目先の利益に目がくらんで環境問題をなおざりにしてしまう。
国民的オバカサンは可愛らしい笑いをさそう存在として許しておけるが、人間の尊厳まで踏み込んでくる国際的オバカサンは一日でも早く退いてほしいもの。この夏の洞爺湖サミットの主要テーマはこの環境問題だ。主催国は議長国でもある。福田総理もこのオバカサン相手にお笑いでごまかさずになんらかの成果を見せて欲しいものだ。
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