大統領2期目を迎えたブッシュ氏にとって、イラクの選挙結果は一応万歳だったでしょう。彼の言う中東に民主主義を、の声が実現に一歩とは言わないまでも半歩ほどは前進したでしょうから。そしてどうやらシーア派の勝利も確実になりそうだ。
一般教書演説で北朝鮮に対して若干軟化した対話路線を打ち出したのも、中東が片付かないうちに極東で揉めるのはまずいと判断したからか。いずれにせよこれでは日本も強硬な制裁路線は無理押ししにくくなったかっこうだ。
けれどイラクの選挙の結果、中東が果たして安定に向かうのだろうか。何かブッシュはパンドラの箱を開けてしまったような気もする。フセインの圧制に苦しめられていたシーア派はもちろん、今回ある程度の成果をあげたと思われるクルド系住民、こんな勢力が国内分裂状態を引き起こす可能性はないのか。
更に近隣国家に及ぼす影響もどうなのか。王制を敷くサウジ、あるいはヨルダン、クウェート、また、UAE(アラブ首長国連邦)辺りの本音はあまり民衆に力を与える民主主義には賛成していないはずだ。隣国トルコに至ってはEU加盟をひかえて国内クルド独立派とのいざこざは極力避けたいのだろうし、何よりもイスラム信徒自身がこれだけ宗派争いをしている中東での民主主義国家の誕生は火に油を注ぐ結果になりはしないだろうか。
2度にわたる世界大戦の結果、ヨーロッパ各国の思惑で人工的な線引きで作られてしまった中東諸国を、今度は新たな侵略国(アメリカがそう思っていなくても侵略された民族がそう思ってりゃ仕方ない)が自分のやり方で民主化を押し付けてもうまく行かないような気がするんだけど。
パンドラの箱を開けてしまったのだから、どこでどんな混乱が起こるか分からない、せめて希望くらいは残っていて欲しいものだ。
話を戻して、今度は北朝鮮に対する日本の制裁問題。今までなかなかうんと言わなかった小泉さんも少しずつ姿勢を変えて来た。さしあたり無難なところで圧力をかけようと。油濁損害賠償保障法を改正しようというのがそれだ。
これなら国民の納得が得やすい。日本に寄港する北の貨物船のほとんどが保険に入っていない。だから転覆、座礁なんて場面では、彼等は船を捨てて逃げてしまう、後始末はすべて日本国民の税金だ。そして大量の流出油で海面は汚染され、漁民は仕事が出来ない。そこで3月からは保険に入っていない北の船は港に入れないとする法律を施行する、つまり仕事をさせないということになる。
北から輸入する品物の大部分が、アサリ、カニ、ウニなどの海産物、だからそれを取り扱っている日本の業者にとっては打撃だ、しかし国全体の輸出入の金額の中では微々たるもの、これまで廃棄船の始末にてこずっていた漁民だって賛成するはずだ。そして北朝鮮にとってはかなりのドル箱を失うことになる。
ところが話はそれだけで済まなかった。実は保険に入っていないのは北朝鮮だけではない、なんとロシアの船もご同様だ。法律が施行されればこっちも同じ取り扱いにならねば不公平になる。しかもこちらの無保険船の主要な積荷は材木だそうだ。
もともと材木運搬は船が傷むらしく、船主も新造船は使いたがらないという。そこでロシアのこの手の船は老朽船ばかり、したがって保険なんかどれもかけていない。となると値上がりするのはベニア板になるらしい。南方の材木は環境破壊問題があって輸入が難しい、それに比べるとシベリア材はまだ取れるし値段も安い。知り合いの材木屋さんによるとこれからはそっちの方が心配と洩らしていた。
風が吹いたら桶屋が儲かるとは江戸のお話、今ではアサリ止まるとベニアが上がるという話になりそうだ。
2005年2月4日(金)寄稿
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